アイスランドの個人開発スタジオ・94 Kelvinは5月1日、宇宙飛行シミュレーター『Space Hauler』を2027年に早期アクセス配信すると発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)。土星最大の衛星タイタンを舞台に、大気圏内飛行と宇宙空間飛行をシームレスにつなぐという、なかなか聞いたことのない組み合わせが印象的な作品だ。
タイタンを舞台に選んだ理由——豊富な大気と低重力という絶妙な条件

太陽系内で豊富な大気を持つ衛星はタイタンだけだ。月や水星より大きく、それでいて地球より小さいタイタンは低重力下での飛行環境としても独特の特性を持つ。開発者のPétur Darri Pétursson氏は、SF的な宇宙描写ではなく「現実の宇宙空間にもとづいた本物さながらの宇宙体験」を目指すと語っており、この舞台選びにもその姿勢が表れているようだ。ちなみにスタジオ名「94 Kelvin」は、タイタンの平均表面温度94ケルビン(約マイナス179℃)に由来しているとのこと。細部へのこだわりが伝わってくる。
大気圏内は航空力学、宇宙空間は軌道力学——2つのフライトシムがひとつに

本作の最大の特徴は、大気圏内と宇宙空間の飛行物理がシームレスにつながっている点だ。プレイヤーが最初に扱う機体「VT-100」は折り畳み式プロペラを備えた小型貨物機。タイタンの大気圏内では揚力・空気抵抗・操縦技術が問われる本格的な航空力学シムとして機能し、宇宙空間へ出ればコンピューターによるジェット噴射計画や軌道力学が主役となる。もちろん勇気があれば手動操縦も可能だ。
コックピットは実際の航空電子機器やアナログ計器からインスピレーションを受けた設計で、すべてのスイッチが操作可能。対応入力はコントローラー・マウスのほかVRやフライトスティックにも及ぶ。本格シム好きにとっては見逃せないラインナップだろう。
ゲームプレイ映像ではVT-100がタイタンの橙色の空を飛ぶ様子や、宇宙ステーションへのドッキングシーンなどが確認できる。
雇われパイロットとして成り上がる輸送ゲームループ

ゲームの柱となるのは輸送ミッションだ。タイタン地上基地間の貨物輸送、遠隔地への物資投下、宇宙ステーションへのドッキング、宇宙船の救助任務など、バリエーションは多岐にわたるようだ。ミッションで得た報酬を元手に宇宙船をアップグレードしたり、新たな機体を購入したり、より困難な任務を受けるためのライセンスを取得したりと、段階的な成長が楽しめる構造になっているとのことだ。
早期アクセス後は太陽系全体へ拡張予定——採掘・救助・ステーション建設も

リリース時点ではタイタンにフォーカスされているが、早期アクセス期間中に土星系全体、さらには太陽系全体へと舞台が広がっていく予定とのこと。土星は現在太陽系内で最多の衛星を持つ惑星として知られており、レア、ミマス、エンケラドゥスといった名だたる衛星たちが登場するかもしれない。採掘・捜索救助・宇宙ステーション建設といったゲームプレイの拡張も計画されており、長期的なアップデートへの期待が高まる。
開発者について——アイスランド政府の助成を受けた個人スタジオ

94 Kelvinは2026年1月にアイスランドで設立されたPétur Darri Pétursson氏のひとりスタジオだ。氏はゲーム業界で7年間の経験を持ち、2024年にサイドプロジェクトとして本作の開発をスタート。その後アイスランド政府からスタートアップ助成金を受け、2026年から本格開発へ移行したという経緯がある。個人開発者が政府支援を背景にリアル物理演算の宇宙シムを作り上げようとしている——そのストーリー自体もなんとも胸熱だ。
製品情報まとめ

- タイトル: Space Hauler
- ジャンル: 宇宙飛行シミュレーター / 輸送シム
- 対応プラットフォーム: PC(Steam)
- 配信時期: 2027年 早期アクセス予定
- 価格: 未発表
- 開発: 94 Kelvin(アイスランド / 個人スタジオ)
- 対応入力: コントローラー、マウス、VR、フライトスティック
宇宙や天文学に興味があるプレイヤーはもちろん、本格フライトシムファンにとっても注目の一作となりそうだ。Steamのウィッシュリストに登録して続報を待ちたい。

