『黒い砂漠』『紅の砂漠』などで知られる韓国のゲームデベロッパーPearl Abyssが、子会社であるCCP Gamesを売却したことが明らかになった。Game*Sparkが2026年5月1日に報じている。売却額は約1,771億ウォン(日本円換算で約188億円)とされており、業界内でも注目を集めているようだ。
約7年間の親子関係に幕―買収の経緯

CCP Gamesといえば、20年以上の歴史を持つ宇宙MMORPG『EVE Online』の開発・運営元として知られるアイスランドのスタジオだ。Pearl Abyssは2018年、約2,525億ウォンを投じてCCP Gamesの株式を買収し、子会社化した。当時のPearl AbyssのCEOであるRobin Jung氏は「CCP Gamesの評判の高いIPとグローバルパブリッシングの専門知識が、当社の世界最高のMMORPG開発とサービスへの献身を再確認する助けになると確信している」と期待を語っており、両社のノウハウを互いに活かすことが買収の主な狙いとされていた。
しかし、買収から約7年が経過した現在、Pearl Abyssはその判断を戦略的に見直した形となる。今回の売却発表にあたりPearl Abyssは、「買収当時はグローバルIPの確保とポートフォリオの多様化という確固たる戦略的判断に基づいていたが、現在ではグローバルゲーム業界のビジネス環境や同社の戦略的優先事項が過去から大きく変化した」と説明している。
営業損失が継続、財務への影響が売却の一因に
売却の背景として、CCP Gamesの業績が大きく影響しているとみられる。買収後もCCP Gamesの営業損失は続いており、2025年第1四半期にはPearl Abyss全体で52億ウォンの営業赤字を記録。その一因として、CCP Gamesにおける新規開発コストの増加が挙げられていた。連結財務諸表への悪影響が長期にわたって続いていたことが、今回の判断を後押しした模様だ。
なお、買収時の金額が約2,525億ウォンだったのに対し、今回の売却額は約1,771億ウォンと、買収時よりも低い価格での手放しとなる。約7年間の投資対効果という観点では厳しい結果となったが、Pearl Abyssはこの売却によって得た資金を「主に新知的財産の開発とマーケティング」に充てる方針だという。
『EVE Online』の今後と両社の関係は?

『EVE Online』プレイヤーにとって気になるのは、親会社が変わることでゲーム自体に影響が出るかどうかという点だろう。今回の発表においてPearl Abyssは、株主関係こそ解消されるものの、両社間の良好な関係は今後も維持していく方針を示しているとのことだ。現時点では『EVE Online』のサービスに直接的な影響が生じるとは言及されていない。
『EVE Online』はその独自の経済システムや大規模プレイヤー間戦争で根強いファンを持つタイトルであり、2025年末には被害額4,900万円以上とも試算された大規模な組織間抗争が起きるなど、今もコミュニティの熱量は高い。新たな体制のもとでどのような展開を見せるか、今後の動向が注目されるところだ。
Pearl Abyssの次の一手は「紅の砂漠」か
Pearl Abyss自身は、売却で得た資金を新IPの開発とマーケティングに投入するとしており、長年開発が続けられているオープンワールドアクションRPG『紅の砂漠』への注力が一層強まる可能性もある。同作はPS5向けにすでに製品が展開されており、Pearl Abyssの次世代タイトルとして期待を集めている。
ゲーム業界全体でスタジオや事業の売却が相次ぐ昨今、Pearl AbyssとCCP Gamesの今回の判断もその流れのひとつといえるかもしれない。今後、CCP Gamesの新たな親会社がどこになるのかについても、続報が待たれる。

