Steamにゲームを出すには、運営元ValveによるビルドレビューをパスするのがSteamリリースの前提条件だ。Valveが公表している審査期間は「通常3〜5営業日、最長でも7営業日」——しかし、とあるインディースタジオはその何百倍もの時間を待ち続けているという。
3年経っても審査が終わらない「AMYGDALA: Prelude」

問題を訴えているのは、3人体制の小規模スタジオMOONLIT JOURNEYSだ。同スタジオが手がける『AMYGDALA: Prelude』は、1990年代のオーストラリアを舞台にしたレトロスタイルのホラーFPS。さまざまな銃器でモンスターを撃退するゲームプレイが特徴で、Steam上のウィッシュリスト登録者数はじわじわと積み重なっているという。
スタジオ設立者のIwannaseetheend氏は4月30日、ゲーム開発者向けコミュニティ「r/gamedev」(Reddit)に投稿。Steamのサポートチームとやり取りを続けているものの、返信には数か月かかることもあり、指示どおりに対応してきたにもかかわらず3年間まったく進展がないと明かした。「ほかの開発者が毎日ゲームをリリースするのを見ながら、自分たちは発売できないかもしれないという不安を感じている」とその心情を綴っている。
MOONLIT JOURNEYSは3名のチームで本作を開発しており、Source EngineのHammerエディタをはじめ、Blender・Audacity・GIMPといった無償のオープンソースツールを活用しているとのことだ。
原因はゲームエンジン? Source Engine採用が審査の壁に

審査が長引いている背景として浮かび上がっているのが、本作のゲームエンジンだ。Iwannaseetheend氏によると、Steamサポートから「本作を有料販売するにはValveと商業契約を結ぶ必要がある」と告げられたという。これは、本作がValve自身が開発したゲームエンジン「Source Engine」を採用していることと関係している模様だ。
r/gamedevに寄せられたコメントでも、Source Engineを使ったゲームに限って同様の審査遅延が複数発生しているという証言が相次いでいる。通常のリリースフローでは不要な「商業契約の締結」というステップが加わり、それがボトルネックになっているようだ。Iwannaseetheend氏はサポートから書類を受け取り、記入して返送したものの、正式な契約書が届かないまま時間だけが過ぎ去ったとしている。
コミュニティの反応と”Gabe Newellへ直接メール”という奥の手
Redditのスレッドでは残念ながら「これが解決策」という決定打は得られていない様子だ。コメントした開発者の多くは「定期的にサポートへ連絡し、声を上げ続けるしかない」と述べるにとどまっている。一方で、ユニークなアドバイスとして注目を集めたのが、「ValveのGabe Newell社長に直接メールしてみては」という提案。同氏のメールアドレスは公開情報となっており、本人から直接返信が届くケースがあることで知られているため、最終手段としてありえる選択肢かもしれない。
体験版は現在配信中。リリースへの道はまだ開けるか
発売日未定のまま宙に浮いた状態が続く『AMYGDALA: Prelude』だが、Steam上では現在無料の体験版が配信中だ。1990年代オーストラリアを舞台にしたレトロホラーの雰囲気は、体験版で確かめることができる。
「使っているゲームエンジンが原因で発売できない」という状況は、インディー開発者にとって非常に理不尽に映る。ValveがSource Engineに関する審査フローを整備・透明化してくれることを願うばかりだ。果たして『AMYGDALA: Prelude』は無事に日の目を見ることができるだろうか。続報に注目したい。
- タイトル:AMYGDALA: Prelude
- 開発元:MOONLIT JOURNEYS
- ジャンル:ホラーFPS(レトロスタイル)
- 対応プラットフォーム:PC(Steam予定)
- 発売日:未定(体験版配信中)
- 使用エンジン:Source Engine

